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都心の家賃が過去最高を記録-東京都心部の賃貸市場の現状と未来

東京23区の平均家賃が過去最高を連続更新

2025年に入ってからも東京23区の平均家賃は上昇を続けており、実に7か月連続で過去最高額を更新しています。特に、シングル向け物件の平均家賃は約9万6千円、ファミリー向けでは20万円を超える物件も珍しくありません。コロナ禍以降、一時的に鈍化していた都心回帰の動きが再び活発化し、物件価格の高騰と相まって、賃貸需要が大きく押し上げられています。

このような家賃高騰の背景には、分譲マンション価格の急騰により、購入を諦めて賃貸にシフトするファミリー層の増加や、進学・転勤による住み替えの活発化、そして物価高騰に伴う住宅コストのアップが挙げられます。

下町エリアの家賃上昇が顕著に

特に注目されているのは、江戸川区や荒川区、足立区といった下町エリアの家賃上昇です。従来は「家賃が比較的安い」とされたエリアでさえ、今や家賃が20万円を超える物件が増加。子育て世帯や若いカップルの家計を圧迫している現状が報告されています。お手頃で便利という理由から人気が集中し、結果として上昇幅が大きくなっているのです。

この傾向は、都心部だけにとどまらず、首都圏全体に広がっています。東京23区の家賃相場は、前年比で1割超の上昇を記録している物件も少なくありません。特に新築やリノベーション物件、駅近で利便性の高い物件は需要が高く、賃料も上昇しやすい傾向にあります。

家賃高騰の背景と今後の見通し

コロナ禍によるリモートワークの広がりで一時的に地方移住が注目されましたが、2024年以降は都心回帰の動きが再び強まっています。都心に近い場所で働き、生活したいというニーズが高まっており、その結果、賃貸物件の需要が一段と増加しています。

また、分譲マンションの価格上昇も家賃市場に大きな影響を与えています。購入が困難になったことで、賃貸に頼る人が増え、供給が追い付かない状況が続いています。このため、今後も家賃水準が高い状態が続く可能性が高いと言われています。

都心の賃貸市場で今求められていること

入居者のニーズの多様化

都心の賃貸市場では、入居者のニーズが多様化しています。特に、以下のような点が重視される傾向にあります。

  • 駅近で利便性の高い立地
  • 子育て世帯向けの設備やサポート
  • セキュリティ対策の強化
  • リモートワークに対応した空間設計

このようなニーズに応えることができた物件は、家賃が高くても高い需要が見込めるため、賃料設定も高くなりやすい傾向にあります。

物件価格と家賃の乖離

東京23区では、市場に供給される賃貸物件の賃料水準と、実際に消費者の需要がある賃料水準との乖離が拡大しています。掲載物件の平均賃料は過去最高を記録していますが、実際に入居希望者が求める家賃はそれほど高くはなく、若干ずれが生じている状況です。

この乖離は、物件探しの難しさを増す要因となっており、予算に合った物件を見つけるための工夫や情報収集がますます重要になっています。

家賃高騰が与える社会への影響

都心の家賃高騰は、単に居住コストの問題だけでなく、社会全体にさまざまな影響を与えています。特に、以下のような点が指摘されています。

  • 子育て世帯や若い世代の家計圧迫
  • 地方移住や郊外への転居の検討が増加
  • ワーキングプアや低所得層への負担増
  • 住み替えや引っ越しのハードルの上昇

都心で働くために高い家賃を払うことができない層が増えれば、地方や郊外に住みながら都心に通勤する「逆転勤」や、リモートワークを選ぶ人も増える可能性があります。

都心の賃貸市場に関するよくある質問

都心の家賃は今後どうなる?

現在の傾向から見ると、都心の家賃は引き続き高騰する可能性が高いと考えられます。特に、供給が需要に追い付かない限り、賃料は下がりにくい状況です。

家賃高騰の中で住まいを探すポイントは?

希望エリアを広げたり、駅から少し離れる、築年数の古い物件を選ぶなど、柔軟な選択肢を持つことが大切です。また、管理費や光熱費などのランニングコストも確認し、総合的な負担額を見極めることが必要です。

参考情報・出典