【年金 いくら もらえる】2024年最新計算方法・受給額の目安を徹底解説

目次

年金は実際にいくらもらえる?基本知識と受給額の仕組み

年金制度は日本の社会保障の根幹をなす重要な制度ですが、実際にいくらもらえるのか、その計算方法や受給額の目安について詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。年金の受給額は、加入期間、保険料の納付状況、所得水準など、さまざまな要因によって大きく変わってきます。

まず、日本の年金制度は大きく分けて国民年金(基礎年金)厚生年金の2階建て構造になっています。国民年金は20歳から60歳までの40年間、すべての国民が加入する義務があり、厚生年金は会社員や公務員が加入する制度です。この2つの制度の組み合わせによって、最終的な年金受給額が決まります。

年金の受給額を理解する上で重要なのは、保険料を納付した期間納付した保険料の総額です。国民年金の場合、40年間保険料を納付し続けると、満額の老齢基礎年金を受給できます。一方、厚生年金は給与に応じて保険料が決まり、給与が高いほど将来の年金受給額も高くなります。

また、年金の受給開始年齢も重要なポイントです。現在、老齢年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、60歳から繰り上げ受給することも、70歳まで繰り下げ受給することも可能です。繰り上げ受給を選択すると年金額は減額され、繰り下げ受給を選択すると年金額は増額されます。この選択によって、生涯の総受給額が大きく変わる可能性があります。

老齢年金の計算方法と受給額の目安

老齢年金の受給額を計算する方法について詳しく見ていきましょう。国民年金(老齢基礎年金)の計算は比較的シンプルで、保険料を納付した月数に応じて年金額が決まります。2024年度の満額の老齢基礎年金は月額約6万5,000円となっており、これは40年間(480ヶ月)保険料を納付した場合の金額です。

具体的な計算式は「満額の年金額 × 納付月数 ÷ 480ヶ月」となります。例えば、30年間(360ヶ月)保険料を納付した場合、老齢基礎年金は月額約4万8,750円(6万5,000円 × 360 ÷ 480)となります。このように、納付期間が短いほど年金額も少なくなる仕組みです。

厚生年金(老齢厚生年金)の計算は、国民年金よりも複雑です。厚生年金の受給額は、平均標準報酬月額加入期間、そして生年月日によって決まります。平均標準報酬月額は、厚生年金に加入していた期間の給与の平均額を基に計算され、給与が高いほど将来の年金額も高くなります。

厚生年金の計算式は「平均標準報酬月額 × 加入期間 × 乗率」となっており、この乗率は生年月日によって異なります。例えば、1961年4月2日以降生まれの男性の場合、乗率は0.005481となっています。つまり、平均標準報酬月額が30万円で40年間厚生年金に加入した場合、老齢厚生年金は月額約6万5,774円(30万円 × 40年 × 0.005481)となります。

実際の年金受給額は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額となります。ただし、厚生年金に加入していた人は、国民年金にも同時に加入していたことになるため、老齢基礎年金は満額受給できる場合が多いです。そのため、会社員として働いていた人の方が、自営業者や専業主婦(主夫)よりも年金受給額が高くなる傾向があります。

国民年金と厚生年金の違いと受給額の差

国民年金と厚生年金の違いを理解することで、なぜ年金受給額に差が生まれるのかが明確になります。国民年金は、日本に住む20歳から60歳までのすべての人が加入する基礎的な年金制度です。保険料は定額で、2024年度は月額1万6,590円となっています。この保険料を40年間納付し続けると、満額の老齢基礎年金を受給できます。

一方、厚生年金は会社員や公務員が加入する制度で、国民年金の上乗せとして機能します。厚生年金の保険料は給与の約9.15%(事業主と従業員で折半)となっており、給与が高いほど保険料も高くなります。ただし、厚生年金に加入している間は、国民年金の保険料も同時に納付されていることになります。

この制度の違いによって、年金受給額に大きな差が生まれます。例えば、自営業者や専業主婦(主夫)の場合、国民年金のみに加入しているため、老齢基礎年金のみを受給することになります。2024年度の満額受給で月額約6万5,000円です。

一方、会社員として40年間働き、平均年収が400万円だった場合、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金も受給できます。老齢基礎年金は満額の月額約6万5,000円、老齢厚生年金は月額約8万7,000円程度となり、合計で月額約15万2,000円の年金を受給できる計算になります。

この差は月額で約8万7,000円、年間で約104万4,000円にもなります。さらに、厚生年金に加入していた期間が長いほど、この差は大きくなります。また、厚生年金は給与に応じて保険料が決まるため、高収入の人ほど将来の年金受給額も高くなるという特徴があります。

年金受給額に影響する要因と増額・減額の仕組み

年金の受給額は、単純に保険料を納付した期間や金額だけで決まるわけではありません。実は、受給開始年齢配偶者の状況所得制限など、さまざまな要因によって増額・減額されることがあります。これらの要因を理解することで、より有利な年金受給を実現できる可能性があります。

まず、受給開始年齢による増減額について説明します。老齢年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、60歳から繰り上げ受給することも、70歳まで繰り下げ受給することも可能です。繰り上げ受給を選択した場合、1ヶ月早く受給開始するごとに年金額が0.5%減額されます。例えば、60歳から繰り上げ受給した場合、年金額は30%減額されることになります。

逆に、繰り下げ受給を選択した場合、1ヶ月遅く受給開始するごとに年金額が0.7%増額されます。70歳まで繰り下げた場合、年金額は42%増額されることになります。ただし、繰り下げ受給の増額率は2022年4月から変更され、現在は0.7%となっています。

次に、配偶者の状況による影響について説明します。国民年金の第3号被保険者(専業主婦・主夫)として保険料を納付していた期間がある場合、その期間も老齢基礎年金の受給資格期間に含まれます。また、厚生年金に加入していた配偶者が亡くなった場合、遺族厚生年金を受給できる可能性があります。

所得制限による年金額の調整も重要なポイントです。老齢年金を受給しながら働いている場合、一定の所得を超えると年金額が減額されることがあります。これは在職老齢年金制度と呼ばれるもので、65歳未満で厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受給している場合に適用されます。

その他にも、年金受給額に影響する要因として、保険料の免除期間学生納付特例期間若年者納付猶予期間などがあります。これらの期間は年金額の計算に含まれますが、免除された保険料を後から追納することで、年金額を増やすことができます。

障害年金と遺族年金の受給額について

年金制度には、老齢年金の他に障害年金遺族年金という重要な制度があります。これらの年金は、老齢年金とは異なる条件で支給され、受給額も異なります。障害年金は、病気やけがによって一定の障害状態になった場合に支給される年金で、国民年金からは障害基礎年金、厚生年金からは障害厚生年金が支給されます。

障害基礎年金の受給額は、障害の程度によって1級と2級に分かれており、1級の場合は満額の老齢基礎年金の1.25倍、2級の場合は満額の老齢基礎年金と同じ金額が支給されます。2024年度の場合、1級は月額約8万1,250円、2級は月額約6万5,000円となります。また、18歳未満の子がいる場合、子の人数に応じて加算額が支給されます。

障害厚生年金の受給額は、厚生年金の加入期間や平均標準報酬月額によって計算されます。基本的には老齢厚生年金の計算方法と同じですが、障害の程度に応じて1級、2級、3級に分かれており、3級の場合は一時金として支給されます。障害厚生年金を受給している場合、国民年金の障害基礎年金も同時に受給できる場合が多いです。

遺族年金は、年金加入者が亡くなった場合に、その遺族に対して支給される年金です。国民年金からは遺族基礎年金、厚生年金からは遺族厚生年金が支給されます。遺族基礎年金は、18歳未満の子がいる配偶者、または18歳未満の子に対して支給され、受給額は満額の老齢基礎年金の4分の3となります。

遺族厚生年金の受給額は、厚生年金の加入期間や平均標準報酬月額によって計算され、老齢厚生年金の4分の3が基本となります。ただし、遺族の状況によって加算額が支給される場合があります。例えば、65歳未満の配偶者が遺族厚生年金を受給している場合、一定の条件を満たすと中高齢の加算額が支給されます。

年金受給額を増やすための方法と対策

年金の受給額を増やすためには、いくつかの方法があります。まず、保険料の納付期間を延長することが最も効果的な方法です。国民年金の場合、60歳以降も任意で保険料を納付することができ、納付期間を延長することで年金額を増やすことができます。ただし、65歳以降の納付期間は老齢基礎年金の受給開始後に反映されるため、注意が必要です。

次に、免除された保険料の追納も重要な対策です。学生時代や経済的に困難な時期に保険料の免除や猶予を受けた場合、その期間は年金額の計算に含まれますが、免除された保険料を後から追納することで、年金額を増やすことができます。追納は10年以内であれば可能で、追納した保険料は社会保険料控除の対象となります。

繰り下げ受給の活用も年金額を増やす有効な方法です。老齢年金の受給開始を65歳から70歳まで遅らせることで、年金額を最大42%増額することができます。ただし、繰り下げ受給を選択した場合、その間は年金を受給できないため、生活費の確保が必要になります。また、繰り下げ受給の増額率は2022年4月から0.7%に変更されているため、現在の制度を確認することが重要です。

その他にも、付加年金の加入国民年金基金の活用など、年金額を増やす方法があります。付加年金は国民年金の第1号被保険者が加入できる制度で、月額400円の保険料を納付することで、納付月数に応じた年金を追加で受給できます。国民年金基金は、自営業者などが加入できる私的年金制度で、掛金の全額が社会保険料控除の対象となります。

また、確定拠出年金(iDeCo)個人年金保険などの私的年金制度を活用することも、老後の収入を増やす有効な方法です。これらの制度は、公的年金とは別に積み立てを行い、老後に年金として受給できる制度です。特に確定拠出年金は、掛金の全額が所得控除の対象となるため、税制上のメリットも大きい制度です。

年金受給額の確認方法と将来の見通し

現在の年金受給額や将来の見通しを確認する方法はいくつかあります。最も簡単な方法は、ねんきんネットを利用することです。ねんきんネットは日本年金機構が提供するオンラインサービスで、マイナンバーカードやID・パスワードでログインすることで、年金の加入履歴や将来の年金見込額を確認することができます。

ねんきんネットでは、年金見込額試算という機能を利用して、現在の加入状況を基に将来の年金受給額を試算することができます。この試算では、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方の見込額を確認でき、受給開始年齢を変更した場合の年金額の変化も確認できます。また、保険料の納付履歴や免除期間なども詳細に確認できるため、年金額の計算根拠を理解するのに役立ちます。

その他にも、年金定期便ねんきん手帳を活用して年金の状況を確認することができます。年金定期便は50歳以上の方に毎年送付される書類で、現在の加入状況や将来の年金見込額が記載されています。ねんきん手帳は年金の加入履歴を記録する手帳で、転職や転居の際に年金の手続きを行う際に必要になります。

将来の年金制度の見通しについても理解しておくことが重要です。現在の年金制度は、少子高齢化経済状況の変化によって、将来の年金受給額が減少する可能性があります。特に、現役世代の減少に伴う保険料収入の減少や、平均寿命の延伸による年金支給期間の長期化などが、年金財政に影響を与える要因となっています。

政府は、年金制度の持続可能性を確保するため、マクロ経済スライド年金支給開始年齢の引き上げなどの対策を検討しています。マクロ経済スライドは、現役世代の減少や平均寿命の延伸に応じて年金額を自動調整する仕組みで、既に導入されています。また、年金支給開始年齢の引き上げについても、将来的に検討される可能性があります。

年金受給額に関するよくある疑問と回答

年金の受給額について、多くの人が抱く疑問や不安があります。ここでは、そうした疑問に対する回答を詳しく説明していきます。まず、「年金は本当にもらえるのか」という疑問についてです。現在の年金制度は、現役世代が支払う保険料を高齢者に支給するという仕組みになっているため、現役世代が減少すれば年金財政が悪化する可能性があります。

しかし、政府は年金制度の持続可能性を確保するため、様々な対策を講じています。例えば、年金積立金の活用保険料率の調整年金額の調整などです。また、年金制度は法律で定められた制度であり、政府が年金の支給を停止することは現実的には考えにくい状況です。ただし、将来の年金受給額が現在の見込額より減少する可能性はあるため、私的年金制度の活用など、複数の収入源を確保することが重要です。

次に、「年金の受給開始年齢は何歳が最適か」という疑問についてです。年金の受給開始年齢は、個人の状況によって最適な選択が異なります。65歳から受給開始する場合、年金額は標準的な水準となりますが、60歳から繰り上げ受給した場合、年金額は30%減額されるものの、5年間早く年金を受給できます。

一方、70歳まで繰り下げ受給した場合、年金額は42%増額されますが、その間は年金を受給できません。最適な受給開始年齢を決めるためには、健康状態経済状況家族の状況などを総合的に考慮する必要があります。また、繰り上げ受給や繰り下げ受給の選択は、一度決めると変更できないため、慎重に判断することが重要です。

その他にも、「年金受給中に働いても大丈夫か」「年金と他の収入源の組み合わせはどうすべきか」など、年金に関する疑問は数多くあります。これらの疑問に対する回答は、個人の状況によって異なる場合がありますが、基本的には年金制度の仕組みを理解し、自分の状況に合わせた最適な選択をすることが重要です。

まとめ|年金受給額を理解して将来設計を立てよう

年金の受給額について詳しく解説してきましたが、重要なのは年金制度の仕組みを理解し、自分の状況に合わせた対策を講じることです。年金の受給額は、加入期間、保険料の納付状況、受給開始年齢など、さまざまな要因によって決まります。

  • 国民年金は40年間納付で満額受給、厚生年金は給与に応じて受給額が変動
  • 繰り上げ受給で年金額は減額、繰り下げ受給で年金額は増額
  • 保険料の追納や付加年金の加入で年金額を増やすことが可能
  • ねんきんネットで現在の状況と将来の見込額を確認できる
  • 私的年金制度の活用で老後の収入を増やすことが重要

年金制度は複雑で分かりにくい部分もありますが、基本的な仕組みを理解することで、より有利な年金受給を実現できる可能性があります。また、年金だけに頼らず、複数の収入源を確保することも、老後の生活を安定させるために重要です。

将来の年金受給額について不安がある場合は、まずねんきんネットで現在の状況を確認し、必要に応じて年金相談センターや社会保険労務士に相談することをお勧めします。年金制度を正しく理解し、適切な対策を講じることで、安心できる老後を迎えることができるでしょう。