【行政書士 年収】行政書士はいくら稼げる?勤務形態・業務内容・経験年数別に徹底解説

行政書士のイメージ

行政書士の年収はどれくらい?まずは全体像を把握

行政書士の年収は、勤務形態や地域、専門分野などによって大きく異なります。一概に「年収●万円」と断定することは難しいですが、平均的には400万円〜600万円程度というデータが多く見られます。

ただしこれはあくまで平均値。年収100万円未満の人もいれば、1,000万円以上を稼ぐ人も存在するという、非常に幅の広い業界です。どれほどの年収になるかは、働き方や業務内容次第といえるでしょう。

本記事では、行政書士の年収について以下のような切り口で深掘りしていきます。収入構造を理解し、「行政書士で食べていけるのか?」という疑問に答えていきます。

雇われ行政書士と開業行政書士の違い

行政書士として働く場合、大きく分けて企業などに就職して働く「雇われ型」と、自身で事務所を構えて開業する「独立型」の2つの働き方があります。

1. 雇われ行政書士の特徴

  • 法律事務所・行政書士法人・企業の法務部などで勤務
  • 安定した給与収入がある(年収300万〜500万円程度)
  • 開業リスクがないため未経験者におすすめ
  • 行政書士登録をしていない場合もある

2. 開業行政書士の特徴

  • 自身の名前で独立し、顧客から直接報酬を得る
  • 年収0円〜1,000万円以上まで幅が広い
  • 業務内容・営業力・専門性によって収入が変動
  • 自由度は高いが、営業・集客・実務のすべてを担う必要あり

このように、行政書士としての収入は「勤務形態×実務経験×戦略」によって大きく変化します。次のセクションでは、具体的な勤務形態ごとの年収の目安を詳しく見ていきましょう。

勤務形態別の年収目安

行政書士の年収は、勤務先や働き方によって大きく異なります。以下は代表的な勤務形態ごとの年収の目安です。

勤務形態 年収目安 特徴
企業勤務(法務部・行政書士法人) 300万〜500万円 安定した給与制。業務は限られがち
公務員経験者(定年後登録) 100万〜300万円(副業的収入) 人脈を活かしながらスポット的に活動
パート・アルバイト 100万〜200万円 補助業務中心。実務経験を積む場
開業(個人事務所) 0円〜1,000万円以上 完全実力主義。専門性と営業力が鍵
行政書士+他資格(社労士・FPなど) 600万〜1,200万円以上 ワンストップで高付加価値を提供

特に開業行政書士は、「いかに集客し、専門性を磨くか」で年収が大きく変動します。兼業・副業的に活動している人も多く、ライフスタイルに応じた働き方が可能な職種です。

経験年数・年代別の年収推移

行政書士の年収は、経験や年代によって徐々に上がる傾向があります。特に開業行政書士は、実績や人脈の積み重ねが収入に直結します。

年代 年収の目安 特徴
20代(未経験〜3年) 100万〜300万円 勤務経験・営業経験を積む時期
30代(中堅期) 300万〜600万円 得意分野が明確になり、顧客が定着
40代〜50代(成長・拡大期) 500万〜1,000万円以上 法人化やスタッフ拡充による収入増も
60代以降(セカンドキャリア) 100万〜400万円 副業・地域貢献型として柔軟に働く人も

若いうちから戦略的にキャリアを積み上げれば、30代で年収600万円超、40代で1,000万円に到達するケースもあります。逆に、準備不足のまま開業すると、年収100万円未満で苦しむ人も。明確な目標と計画が重要です。

地域差・都市部と地方でどれほど違う?

行政書士の年収は、地域によっても大きな違いがあります。東京都・大阪府・愛知県などの都市部では業務ニーズが多く、平均年収も高くなる傾向があります。一方で、地方では依頼件数は少ないものの、競合が少なく信頼関係が築きやすいという利点もあります。

地域 年収目安 特徴
都市部(東京・大阪・名古屋など) 500万〜1,000万円以上 需要は多いが競争も激しい。高単価案件あり
地方都市・中規模都市 300万〜600万円 地域密着型でリピートが期待できる
農村・過疎地域 100万〜300万円 依頼数が限られる。副業や出張対応が前提

地方では報酬単価が低い傾向にあるものの、信頼構築や口コミが収入安定のカギとなります。また、他士業との連携や行政機関との関係性も地域性に左右されます。

取り扱い業務別の収入構造

行政書士の収入は、取り扱う業務分野によっても大きく変わります。以下に、代表的な業務とその収入構造の違いを見ていきましょう。

業務分野 1件あたりの報酬相場 特長・収益性
建設業許可申請 5〜15万円 継続案件になりやすく安定収入に直結
外国人の在留・帰化申請 10〜30万円 高単価。専門性が強く差別化しやすい
相続・遺言作成 5〜20万円 信頼関係が重要。弁護士・税理士との連携も
法人設立 3〜10万円 単発案件が多いが、他業務へつながりやすい
契約書・内容証明 1〜5万円 単価は低め。件数勝負の分野

このように、専門性・継続性・単価のバランスが重要です。「高収入を狙うなら、専門分野に特化し、リピートや紹介を生む仕組みを構築する」ことが鍵となります。

高収入を実現している行政書士の特徴

年収1,000万円を超えるような高収入行政書士も実在します。彼らにはいくつかの共通した特徴があります。それは、単に「運」や「地域」に恵まれているというだけではありません。

1. 専門特化型の業務展開

高収入を得ている人は、「何でも屋」ではなく、特定の分野に専門性を持っていることが多いです。例えば、外国人の在留申請に特化している、風俗営業許可に特化しているなど。

2. 営業力・マーケティング力が高い

ホームページやブログ、SNSなどを活用し、見込み顧客を自ら集める力が高いのも特徴です。オンラインで相談を完結させる仕組みを整えている人も多くいます。

3. 他士業との連携・ワンストップサービス

税理士・社労士・司法書士などと連携し、依頼者の課題をワンストップで解決できる仕組みを構築していると、高単価の案件が継続して集まります。

4. 単発業務から継続業務への転換ができている

法人向けの顧問契約や、更新・変更などの継続性がある業務を主軸にしており、安定収入のベースを築いているのも大きな特徴です。

高収入の行政書士は、単に努力しているだけではなく、戦略的なビジネス視点を持って活動していることがわかります。

年収アップのためにできること

行政書士として年収をアップさせるためには、単に「件数をこなす」だけではなく、単価×継続性×効率の観点から業務を組み立てていく必要があります。

1. 専門分野を明確にする

得意な業務、ニーズが多い業務、他の行政書士があまり扱っていない業務を研究し、自分の専門ジャンルを確立しましょう。これがブランディングにつながります。

2. デジタル集客に強くなる

ホームページ・ブログ・Googleビジネスプロフィール・SNSなどを活用したオンライン集客は、今や不可欠です。SEOの基本やライティング技術も収入に直結します。

3. 単価を意識したメニュー設計

価格競争に巻き込まれないためには、高付加価値のメニューを用意することが重要です。複数業務のセット商品、コンサルティング型の商品設計などが効果的です。

4. リピート・紹介を仕組みにする

継続顧客や紹介ルートを確保することで、営業コストを下げ、安定的に依頼が入る体制ができます。DMやアフターフォローも重要です。

年収アップのためには、目先の収入ではなく、長期的な信頼・専門性・仕組みづくりを見据えた戦略が不可欠です。

行政書士の将来性と副業・兼業の可能性

「行政書士は稼げるのか?」という疑問は、将来的な安定性や、副業としての魅力にも関係しています。今後の社会動向やテクノロジーの進展を踏まえた展望を見ていきましょう。

1. 法改正や国際化で需要は継続

外国人雇用、民泊、ドローン、スタートアップ支援など、新たな許認可分野が次々に誕生しています。行政手続きの専門家である行政書士の役割は今後も重要です。

2. 電子申請対応で働き方の自由度が増す

デジタル庁の推進するオンライン行政手続きにより、自宅や地方にいても全国の依頼を受けられる環境が整いつつあります。副業・リモート行政書士としての活動も現実的です。

3. 他資格との相乗効果も見込める

FP・宅建・社労士・司法書士などと組み合わせれば、高単価なワンストップサービスを展開でき、将来的にも安定的な収入源となるでしょう。

「稼ぐ」だけでなく、「自分らしい働き方を実現する手段」として、行政書士は非常に柔軟性の高い資格といえます。

まとめ|行政書士で稼げる人と稼げない人の差

行政書士は、平均年収こそ400万〜600万円前後と言われますが、努力と戦略次第で年収1,000万円以上も可能な資格です。一方で、独立しても年収100万円に満たない人も少なくありません。

  • 営業力・集客力があるかどうか
  • 専門性や信頼性を構築しているか
  • 価格競争ではなく価値提供ができているか
  • 継続収入の仕組みを持っているか

「資格を取っただけでは稼げない」が、「行動すれば大きく稼げる」というのが行政書士という仕事の本質です。

これから行政書士を目指す方も、すでに資格を持っている方も、自分の強みを活かした独自のスタイルを構築することで、大きな成果を得ることができるでしょう。ぜひ長期的な視点で、自分の理想とする働き方・収入を実現していってください。