【社労士 合格率】合格率の推移と難易度は?受かる人の特徴や戦略も徹底解説

社会保険労務士(社労士)のイメージ

社労士試験の合格率とは?過去10年の推移と分析

社会保険労務士(社労士)試験は、合格率が毎年5〜7%前後という、非常に狭き門とされる国家資格です。ここでは、最新の合格率データをもとに、過去10年の推移や傾向を整理してみましょう。

年度 受験者数 合格者数 合格率
2024年43,174人2,974人6.9%
2023年42,741人2,720人6.4%
2022年40,633人2,134人5.3%
2021年37,306人2,937人7.9%
2020年34,845人2,237人6.4%
2019年38,428人2,525人6.6%
2018年38,427人2,413人6.3%
2017年38,685人2,613人6.8%
2016年39,972人1,770人4.4%
2015年40,712人1,051人2.6%

一見すると毎年の合格率は安定しているように見えますが、2015年の2.6%など、年度によって大きく下がることもあります。これは試験の難化や出題傾向の変化、救済措置の有無などが影響しています。

なぜ社労士の合格率は低いのか?

社労士試験の合格率がここまで低い理由は、単に試験が難しいからというだけではありません。制度上の特性や出題形式にも、合格者数が絞られる要因が含まれています。

1. 科目数が多く、範囲が広すぎる

  • 労働法、年金、健康保険、一般常識など全8科目を網羅
  • 科目ごとの出題形式や論点が異なり、満遍ない学習が必要
  • 出題数も多く、総点数は合計70問とボリュームが膨大

2. “足切り制度”があるため全科目で一定得点が必要

  • 1科目でも基準点を下回ると即不合格(たとえ他で満点でも)
  • 「得意科目でカバー」が通用しない構造
  • 特に選択式は1点足切りのリスクが高く、恐れられている

3. 合格基準が毎年変動する

  • 固定された得点ではなく、合格者数に合わせて調整される
  • 難化すれば救済措置が入る一方、点数が読めない側面も

こうした構造的な難しさがあるため、社労士試験では「知識量+戦略+バランス力」が問われます。点数を取る以上に、落ちない勉強法が重要とされる理由です。

合格基準と“足切り”制度の仕組み

社労士試験には、2種類の出題形式があります。選択式(午前)と択一式(午後)です。両方に合格する必要があり、それぞれの中で基準点を満たさなければ合格できません。

試験形式 内容 基準点の目安
選択式 空欄補充形式、1問5点×8科目=40点満点 総得点24点以上+各科目3点以上
択一式 5肢択一形式、1問1点×70問=70点満点 総得点45点以上+各科目4点以上

さらに、年度によっては「救済措置(基準点の引き下げ)」が入る場合もあります。特に選択式の一部科目(例:一般常識・年金分野など)は難問が出題されやすく、多くの受験者が1点・2点で足切りになるケースも。

そのため、合格するには「高得点を狙う」よりも「足を引っかけない」という戦略が有効なのです。

初学者と再受験者で合格率はどう違う?

社労士試験では、複数回受験して合格する人の割合が高いと言われています。初学者と再受験者では、試験への理解度や対策経験が異なるため、合格率にも差が出やすいのが現実です。

初受験者の特徴と課題

  • 試験の全体像や出題傾向が掴みにくい
  • 「基礎の理解」と「試験対応力」の両立が難しい
  • 科目のバランスや時間配分が課題になりやすい
  • 選択式の足切りで失敗するケースが多い

再受験者の強み

  • 出題傾向・試験時間の感覚を体験している
  • 自分の弱点や苦手分野を把握できている
  • 過去問・模試・教材を活用する技術が高い
  • 合格に必要な点数感覚が身についている

初受験で一発合格する人ももちろんいますが、実際には2回目・3回目で合格する人が多数派です。1回でダメでも「合格に近づいた1年」と捉えることが大切です。

他資格との比較でわかる社労士の難易度

社労士の合格率が5〜7%という数値を見て、「難しい」と感じる方も多いですが、他の国家資格と比較してみることで、より客観的に位置づけを理解することができます。

資格名 合格率 特徴
行政書士 10〜15% 法律系の中では比較的独学しやすい
宅地建物取引士(宅建) 15〜17% 不動産業界の登竜門。科目数は少なめ
中小企業診断士(1次) 20〜30% 2次試験との合算で合格率は10%未満に
司法書士 3〜4% 最難関。3,000時間以上の学習が目安
社会保険労務士 5〜7% 範囲が広く足切り制度があるのが特徴

社労士試験は、「科目の広さ」と「合格基準の厳しさ」が際立つ中難関資格です。特に働きながらの受験者が多いため、戦略的な学習計画が合否を分けます。

合格者に共通する特徴とは?

合格率が低い社労士試験ですが、毎年しっかりと合格している人がいるのも事実です。彼らの学習法や姿勢を分析すると、いくつかの共通点が浮かび上がってきます。

① 学習を習慣化していた

  • 毎日決まった時間に学習を継続していた
  • 「朝30分」「通勤中に音声講義」などルーティン化
  • 1日ごとの達成目標を設定していた

② 過去問・模試の活用が徹底していた

  • 過去10年分以上を3周以上解いていた
  • 模試は「本番と同じ時間・環境」で受験
  • 復習ノートやミス集を作って定着させていた

③ 苦手科目の対策を優先していた

  • 足切りリスクが高い「一般常識」「年金」科目を重点的に対策
  • 得点源よりも「落とさないこと」にフォーカスしていた
  • 理解に時間がかかる分野は早めにスタート

合格者は総じて「完璧さ」よりも「継続・改善・戦略」を重視しています。自分なりの“勝ちパターン”を早期に確立することが、合格への近道です。

合格率を上げる勉強戦略・学習のコツ

社労士試験で合格率を上げるためには、効率的かつ計画的な学習が求められます。ここでは、実際に効果のあった学習戦略や工夫を紹介します。

1. 早い段階からスケジュールを立てる

  • 試験日から逆算して月ごとの学習目標を設定
  • 最初の2ヶ月は基礎インプットに集中
  • 中盤以降はアウトプット・演習中心に切り替える

2. 科目ごとに時間配分を変える

  • 得意科目は“維持”、苦手科目は“克服”を意識
  • 一般常識や年金分野は早めに着手
  • 演習で誤答が多い部分を重点的に再学習

3. 本番形式で演習を積む

  • 時間を測って問題を解く癖をつける
  • 模試・過去問は“1回解いて終わり”にしない
  • 選択式は「引っかけ問題」に慣れる訓練も重要

合格率は「運」ではなく「準備の質」で上げることができます。“なんとなく勉強”からの脱却が、合格への最短ルートです。

合格率に振り回されないための心構え

「社労士の合格率は6%しかない」「自分に受かるわけがない」…そんなふうに思っていませんか? しかし、合格率は“全受験者”に対する数字であり、必ずしもあなた自身の可能性を示すものではありません。

  • 合格率の中には記念受験や学習不足の人も多数含まれる
  • 本気で対策をしている層だけに限れば、実質的な合格率はもっと高い
  • 合格者は“特別な人”ではなく、正しい努力を続けた人

合格率という「数字」に惑わされるよりも、合格者の行動・思考・勉強法に目を向ける方が、合格に近づくための現実的なヒントが得られます。

あなたの合格率は、自分の行動で変えられる。数字はただの指標。恐れるのではなく、活用しましょう。

まとめ|合格率を味方につけて戦略的に合格しよう

社労士試験の合格率は確かに低いですが、それは合格者がいないという意味ではありません。むしろ、正しい戦略と継続力があれば、誰でも合格は目指せます。

  • 合格率は例年5〜7%前後で推移
  • 選択式・択一式の両方で基準点をクリアする必要あり
  • 科目ごとの足切りが最大のリスク
  • 再受験者のほうが合格率は高い傾向
  • 継続・戦略・改善が合格者に共通する要素

合格するために大切なのは、「合格率にビビらない」「正しい方法で続ける」「改善を止めない」こと。焦らず、マイペースで、一歩ずつ着実に進んでいきましょう。

合格への可能性は、数字ではなく、あなたの手の中にあります。最後まであきらめず、自分のペースで進めば、きっと夢は叶います。