【社労士 内容】内容を完全ガイド!科目・形式・制度を徹底解説

社労士試験の概要と全体像
社会保険労務士(社労士)は、労働法・社会保険法を中心とした法律知識をもとに、企業の人事・労務管理を支援する国家資格です。その社労士試験は、毎年8月下旬に実施される筆記試験(択一式・選択式)によって行われ、合格には総合力が求められます。
社労士試験の特徴は、試験科目の多さと記憶重視の出題形式にあります。全8科目からバランスよく出題され、労働法・社会保険法の条文理解を中心に、制度の仕組みや実務知識も問われます。
- 受験資格:大学卒業以上、一定の実務経験など(誰でも受けられるわけではない)
- 試験形式:午前(選択式)+午後(択一式)の1日完結型
- 合格率:例年5〜7%前後と非常に狭き門
本記事では、この社労士試験の内容を、科目構成・出題傾向・合格基準・学習対策まで網羅的に解説していきます。これから学習を始める方にも、受験経験者にも役立つ情報を提供します。
択一式試験の内容と出題形式
択一式試験は、午後の部に行われるマークシート形式の試験で、1問5肢から正しい選択肢を1つ選ぶ形式です。科目ごとに10問出題され、全70問・計350点満点の構成となっています。
科目 | 問題数 | 配点(各5点) |
---|---|---|
労働基準法・労働安全衛生法 | 10問 | 50点 |
労災保険法 | 10問 | 50点 |
雇用保険法 | 10問 | 50点 |
労働保険徴収法 | 5問 | 25点 |
健康保険法 | 10問 | 50点 |
厚生年金保険法 | 10問 | 50点 |
国民年金法 | 10問 | 50点 |
一般常識(労務管理・統計など) | 5問 | 25点 |
択一式では、条文知識・定義・判例・制度趣旨が正確に理解されているかが問われます。5つの肢がいずれも紛らわしい内容になっているため、確実な知識の定着が重要です。
選択式試験の内容と出題形式
選択式試験は、午前中に実施される穴埋め形式の筆記試験です。各科目ごとに5つの空欄があり、それぞれ選択肢から解答を選ぶ形になります。1科目5点×8科目=40点満点です。
択一式に比べて問題文が長く、読み取り力・理解力が求められることが特徴です。また、「足切り(基準点)」が最も影響する試験でもあり、1点でも足りなければ不合格となる科目別基準点に注意が必要です。
選択式試験の出題科目
- 労働基準法および労働安全衛生法
- 労災保険法
- 雇用保険法
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
- 労務管理および労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
特に「一般常識」は出題内容の幅が広く、白書・統計・時事からも出題されるため、過去問だけでは対応しきれないリスクがあります。直前期の対策がカギとなります。
試験科目の詳細(全8科目の内容とポイント)
社労士試験では、以下の8科目(+徴収法)が出題対象となります。それぞれに特徴や対策のポイントがあり、科目ごとの特性を理解することで、効率的な学習が可能になります。
1. 労働基準法・労働安全衛生法
- 労働条件(労働時間・休憩・解雇など)や職場の安全衛生に関する基本法
- 条文数が多く、実務にも密接に関わる重要科目
- 基本条文の暗記と判例の理解が得点源に
2. 労災保険法
- 業務上の負傷・疾病・死亡などに対する労災給付制度の理解が必要
- 給付の種類・条件・支給手続きが出題の中心
3. 雇用保険法
- 失業給付・育児休業給付・教育訓練給付などの内容を網羅
- 実務に活きる知識が多く、比較的得点しやすい科目
4. 労働保険徴収法
- 労災保険・雇用保険の保険料徴収の仕組みを扱う
- 計算問題や申告の流れ、納期限など実務寄りの内容も出題
5. 健康保険法
- 医療給付・傷病手当・出産育児一時金などが出題の中心
- 「被保険者・扶養者・保険者」などの立場の理解が重要
6. 厚生年金保険法
- 老齢年金・障害年金・遺族年金などの制度が中心
- 報酬比例部分・定額部分などの仕組みの把握がカギ
7. 国民年金法
- 基礎年金制度、保険料の仕組み、給付要件など
- 厚年法との違いや連携に注意しながら理解を深める
8. 一般常識(労務管理・社会保険の統計など)
- 白書・統計・時事的な知識も出題対象に含まれる
- 他の科目よりも出題範囲が広く、直前期の総整理が重要
各科目には「得点源になりやすい」「足切りリスクが高い」など特性があります。自分の得意・苦手を把握してバランスよく対策することが合格への近道です。
試験制度・合格基準・科目合格制度の仕組み
社労士試験の合格には、単に総得点が高ければよいわけではありません。科目ごとに基準点(いわゆる足切り)が定められており、これを下回ると不合格になります。ここでは制度の仕組みを整理して解説します。
1. 択一式試験の合格基準
- 総得点280点以上(350点満点中、約80%)が目安
- 加えて、各科目3点(5問中1問以上正解)が基準点とされる
2. 選択式試験の合格基準
- 総得点26点以上(40点満点中)
- かつ、各科目3点以上(5問中)を満たす必要がある
- 1科目でも2点以下があると即不合格となるため、バランス重視が必須
3. 科目免除制度(条件あり)
- 過去に社会保険労務士試験の一部科目に合格していれば、申請により免除が可能
- 厚生労働大臣が認めた研修・講習の受講でも一部科目免除が認められることがある
社労士試験は「一点に泣く」ことが多い試験です。高得点でも“足切り”があるため、苦手科目の底上げがとても重要になります。
過去問分析・出題傾向の変遷
過去問の分析は、社労士試験対策において最も重要なプロセスのひとつです。ここでは、近年の出題傾向と科目別の変化について簡潔にまとめます。
1. 労働法系科目の傾向
- 労基法は改正条文・判例に関する問題が多い
- 労災・雇用保険では給付内容の具体的な条件を問う問題が中心
2. 社会保険系科目の傾向
- 健康保険・年金系は制度の細部(要件、除外、金額)を問う設問が多い
- 数字・日数などの暗記精度が求められる
3. 一般常識の傾向
- 選択式は「白書・統計」からの出題が多く、暗記だけでは太刀打ちできない年も
- 法改正や最新時事にも要注意
毎年出題傾向が大きく変わるわけではありませんが、一部の科目や設問で揺さぶりをかけられるのが社労士試験です。過去問を5〜10年分繰り返し解き、出題の型を体に染み込ませることが合格の鍵となります。
試験の改正履歴と今後の可能性
社労士試験は、制度や社会環境の変化に合わせて出題範囲や試験制度の見直しが行われてきました。ここでは、過去の主な改正履歴と、今後の試験制度の動向について解説します。
過去の主な試験改正履歴
- 2008年:選択式試験に基準点制度が明確に導入
- 2015年:合格率が過去最低の2.6%に(厳格化の一環とされる)
- 2019年〜:働き方改革や法改正に対応する新傾向問題が出題されるように
今後の可能性
- IT・DXに関する実務対応力を問う問題の増加
- 個人情報・ハラスメント対応などの新分野の出題可能性
- 記述式の導入など、より実務寄りの形式に変わる可能性も議論されている
社労士は「法改正と隣り合わせの資格」であるため、試験範囲も常にアップデートされ続けます。最新の制度・判例・用語にアンテナを張っておくことが、今後ますます重要になるでしょう。
初学者向けの学習ポイント
社労士試験に初めて挑戦する人にとって、「どこから手を付ければいいのか」「何に注意すべきか」は最大の悩みです。ここでは初学者が意識すべきポイントをまとめます。
1. 科目バランスを意識する
- 得意科目だけに偏らず、満遍なく取り組む
- 「足切り対策」として苦手克服を早期に行う
2. インプットとアウトプットをセットで行う
- テキスト学習(インプット)と過去問演習(アウトプット)を交互に繰り返す
- アウトプットの中で理解の不十分な部分を再学習
3. 書く・話す・聞くで「定着力」を高める
- 用語や制度は「ノートにまとめる」「誰かに説明する」などで記憶に残す
- 音声講義やスキマ時間の復習アプリも活用すると◎
4. 長期戦を覚悟し、継続可能な計画を
- 学習期間は6か月〜1年が目安。週ごとに無理のない計画を立てる
- 生活スタイルに合わせた「朝学習」「通勤中学習」「夜復習」を定着させる
初学者が最も避けたいのは「最初だけ頑張って、途中で失速する」パターンです。継続できる工夫とモチベーションの維持が、合格の決め手になります。
受験申込から試験日当日までの流れ
社労士試験は毎年1回、8月に実施されます。ここでは、受験までのスケジュールと流れを把握しておきましょう。「いつ何をするか」を明確にしておくことが学習計画にも大きく影響します。
- 4月中旬:試験案内配布・受験申込開始(郵送・電子申請)
- 5月中旬:受験申込締切
- 7月下旬:受験票が自宅に届く(会場の確認)
- 8月下旬:試験実施(全国の会場にて一斉実施)
- 10月上旬:選択式のみの基準点発表(速報)
- 11月上旬:正式な合格発表(合格証書の送付)
受験申込を忘れると1年間の努力が無駄になるため、スケジュール管理は非常に重要です。特に「初受験」の人は、受験資格の確認・証明書の提出などにも注意してください。
まとめ|社労士試験の内容を正しく理解して合格へ
社労士試験は、法律知識と実務感覚の両方を問う国家資格です。合格率は低いものの、内容を正しく理解し、戦略的に取り組めば必ず合格は見えてきます。
- 試験形式は「択一式」と「選択式」の2部構成
- 全8科目に加え、徴収法や一般常識が出題対象
- 合格には「総得点」と「科目別基準点」の両立が必要
- 足切り対策には「バランス学習」と「苦手潰し」が不可欠
- 過去問分析と法改正チェックが得点アップのカギ
本記事で紹介した試験内容や対策のポイントを参考に、自分に合った学習スタイルで準備を進めていきましょう。社労士資格は、キャリアアップや独立開業への道を広げてくれる非常に価値のある資格です。
最後まで学び抜いたその先に、合格と新たなチャンスが待っています。あなたの社労士合格を、心から応援しています!
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